合作!グリーン拉致事件

いつものように、ドラリンは街なかで可愛い系の少年をさらって自分が十年以上かかって集めた衣装コレクションを着せようと、企んでいた。

「むむっ…可愛い子レーダーに反応が!」

ドラリンのショートカットの金髪が下敷きで擦った後のように、逆立つ。

前方一キロ先には、買い物袋を提げたおおよそ151.7cmの体躯の少年が!顔立ちは派手ではないものの、磨けばダイアモンドのように輝くであろう…とドラリンは判断。
彼女は、「ならば私が磨いてやるまでよ」と一人ごちて、底引き漁用の網をどこからか取り出した。

あの少年のすぐそばにいる荷物持ちの青年が邪魔だな…。

バンダナを頭に巻いた美青年と、少女と見まごう少年が連れ立って歩いているさまは、どこにでもいる同人女を喜ばせるだろう…などと考えつつ、ひたすらチャンスを待つドラリン。

少年が胸ポケットから何かを取り出すために立ちどまる。青年と少年との距離があく。
その一瞬のチャンスを逃すドラリンではなかった。

「イッタダキ〜!!」

バンダナの青年と買い物リストのメモと、捨て台詞を残してドラリンは網にかかった少年を、お持ち帰りしたのであった…。

 

 

 

 

「こんなことして、許されるわけがありません! 僕の仲間が駆けつけて、ここに討ち入りに来ます! 国家権力なんかに負ける彼らじゃないっ!!」

なんとかグリーンは、強気で振る舞っていたが、震える声が彼の心境を顕著に物語っている。
ドラリンにはそんな彼の態度が面白くて仕方がないらしい、随分とテンションが高い。

「討ち入り? どんとこ〜い!! 返り討ちにしたるわぁ! をとめパゥワーをなめんなヨォウ?」

ドラリンは、あたかも目の前に敵がいるかのように構え、なぜかラップ調でキック、パンチを繰り出している。

「やめろ」

何の前触れもなく司令室に入ってきた、見た目が猛烈に恐いお兄さん・ホンゲダレッドはそんなドラリンを遠慮なしに後ろから足蹴にする。壁に向かって転がるドラリン。

「俺はへなちょこ戦隊ホンゲダバーリーダー・レッド。君、大丈夫か?」

いつの間にやら現れ、自分を救ってくれそうなホンゲダレッドを、本物の正義の味方のようだ、と、なんとかグリーンは感動した。

「はい。ありがとうございます! ウチのリーダーが貴方みたいな人だったらいいのに!」

「え゛えっ?!!」

なんとかグリーンの台詞に、傍観していた残りのホンゲダメンバーは声を揃えた。

「どういう意味だ…?」

愛犬の散歩のために、きっかり五時で帰ってしまう彼に皆は不満があるのか、飼い主馬鹿を見せつけられていやになってるのかは定かではないが、それはどうでもいいので放っておこう。

 

 

 

 

 

自己紹介が一通り終わり、7人はお茶をすすりながらほのぼのとしていた。

「戦隊に女の人がいると華やかでいいですよね」

なんとかグリーンはにこやかに話しながら紅茶を口に含む。

「こいつはオカマだぞ」

ホンゲダレッドは親指でピンクを指す。ピンクはむくれ、口をへの字にしながら「覚えてらっしゃい…」と呟いた。

「いやそうじゃなくて…このかた」

ホンゲダレッドの言葉に首を振るなんとかグリーンは、ドラリンを見る。

「え?」

ドラリンの声を合図に、ホンゲダメンバー全員は

「…え゛?」

という台詞とともにドラリンを凝視した。

「あなた、女のかたじゃないんですか?」

「そーいやそーだったあぁー!!」

なんとかグリーンの問いかけに、全員が叫ぶ。

「ってか、ちょっと待て!何でお前も叫んでるんだ司令官!」

ホンゲダレッドはドラリンにツッコミせずにはいられない。
が、ドラリン本人それどころではないらしく、頭を抱えて転がりはじめた。

「そういや私、女だよ!ヒロインだよ!!どーして忘れてたんだあ!」

それは作者が忘れてるから…というか君は男とか女とか関係無い。むしろドラリンだ。

 

もどる