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天使の喉笛に、ケガレは深々と歯を立てていた。
「…なっ……」
ヒュウ、ヒュウ、と風の抜けるような音と共に、天使は驚きの声を漏らした。
ゴキリ…と首の骨が砕けた音も。
憎しみに、天使の端正な顔が歪む。
「貴…様……呪…わ…れろ……」
血が塊になって、処刑天使の口から出た。
「神は…常…に貴様……を、見て…い……」
呪詛は、途中で終った。
天使の目は、もう光を失っていた。
そのまま喉を喰いちぎる。
どさり、と天使の体が地に落ちた。
口内の肉片を吐き出し、身体に突き刺さったままだった剣を抜いた。
途端に、おびただしい量の血液が溢れ出した。
しかし、ケガレは、死ぬ気がしなかった。
「呪われろ…だと?」
彼は呟いた。血にまみれた口で。
「神は、見ている?」
ハハハ、と、掠れた、しかし高らかな笑い声を上げる。
「お前に、何が出来る?俺はお前を畏れなどしない!!」
声は、丘じゅうに響き渡り、『生命の木』はしなやかな枝をざわつかせた。
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そして。
ケガレは、この丘に新しい家を建てた。
毎日『木』を守り、10月10日後。
木に生った大きな実から、魔物の子が出てきた。
その赤子はどの魔物の姿とも異なっていたが、
ケガレと、溜に、とてもよく似ていた。
俺はお前を畏れなどしない
立派に育てるさ。僕達の、可愛い…悪魔を!
了。
お話は『Two Half moon』へと続きます。
続けて読んでいただけると幸いです。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
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