「どうやら暴行は受けていないようですね。」
やれやれ、と髪を掻き揚げるブルー。
「変なことになってなくてホント良かった良かった」
なんとかイエローは安堵の息を漏らした。
「暴行て…私を何だと思ってたんだ!」
「痴女。」
0.5秒の回答に、ドラリンの頭にはホンゲダホワイトがよぎった。
「しても、グリーン。似合ってるけど…なんか場慣れしてねえ?」
なんとかイエローは、なんとかグリーンを顧みて、当然の疑問を投げかけた。
なんとかグリーンは自分の顔が紅潮してゆくのがわかった。慌てて衣装ケースの裏に隠れる。
「グリーン?」
「見ないで…っ」
同僚にこんな姿を見られるなんて。自分の意志ではないとはいえ、この様なことを平気でしてしまえる自分は
(…変態)
なのだろう。恥ずかしさに身を縮めていると、突然、肩に感触があった。大きなペンだこのある手。
「…ブラック」
ブラックは肩に手を回し、なんとかグリーンを優しく抱いた。
「べっつに変じゃないって。かわいーし」
なんとかイエローのいつもと変わらぬ声も聞こえ、なんとかグリーンは癒されるような気がした。その時。
「……萌え。」
その呟きに、なんとかグリーンの心境は一変した。
「…好きだ!」
「ウッギャアアアア!!」
「騒がしいですね」
ブラックの腕から逃れた先には
「ブルー、何着てるの?!」
そこにはベルサイユ王朝風のドレスを着たブルーが!
「貴方が可愛い、と言われていることに腹が立ちましてね。どうです、私の方が美しいでしょう?」
鏡を見てうっとりするブルーを遠い目で見守るグリーン、と、ドラリン。
「なぁ…」
「…はい?」
ブラックは、なんとかイエローに取り押さえられていた(寝技で)。
「いいのか? 生身でも、ましてや男でも、コスプレしてれば好きなのか?! お前、ほんっとにストライクゾーン判り辛いな!」
ブラックは、なんとかイエローの質問には答えず、無言に徹したまま、彼を振りほどこうとしていた。
こんな時でも変わらず無表情なのが、尚更怖い。
「こいつらに比べれば、君は全然変じゃないさ。」
「はい…。なんだか…勇気が湧いてきました。」