「そうか、それはよかった。そろそろ夕食の時間だし、フランス料理のフルコースをおごってやろう!!」

「えっ、本当ですか?」

太っ腹なドラリンの台詞に、なんとかグリーンは単純に喜んだ。が、タダより恐いものはない。

「ああ。君がこれを着ればの話だがな」

うまい話にゃ裏がある。そう言ってドラリンが掲げたのは、フリルをふんだんに使った桃色家屋のワンピース。

「帝黒ホテルの超高級フランス料理店なんだがなー」

「……」

なんとかグリーンは本気で悩んでいる。フルコースを取るか、わずかに残る男のプライドを優先するか。

「一食ン万だぜ?さあどうする?」

「司〜令〜官〜」

楽しそうに、なんとかグリーンに尋ねるドラリンの背後には、服のあちこちにキスマークと返り血をつけたホンゲダレッドが、いつの間にか立っていた。

「レレレレレッド…」

「そういえば、皆さん落とし穴に落とされてましたよね、大丈夫だったんですか!?」

そう問う、なんとかグリーンの格好を見るなりホンゲダレッドは目を見張り、犯罪(未遂?)者をねめつけた。

「クッション敷いてあったから命に別状はなかったろ?」

「そういう問題で怒ってるんじゃないでしょうが。出口を探すのにも苦労しましたよ」

ぴしゃりと言い伏せたのは、もはや恩赦などという言葉は通じないであろう精神状態のホワイト。

「司令のせいでピンクが死にかけたさー」

メンバーが次々と現れた驚きと、報復の恐怖に顔を歪ませる司令官に、ホワイト・ホンゲダイエロー・ホンゲダグリーンが恨みがましい視線を送る。

「でもピンクの場合は、レッドにちょっかい出しまくったから自業自得だよ」

ホンゲダグリーンは意外とピンクに冷たかった。

「…て訳だ。覚悟はいいな」

ホンゲダレッドは、ドラリンを殺す準備はオッケイ、気力ゲージは満タン!指をポキパキと鳴らし、手首の柔軟体操を終えた。

「いやあの、ちょ、待…」

「問答無用」

「すぐに楽になると思うよ☆」

ホワイト・ホンゲダグリーンの発言を最後にホンゲダメンバー達から会話が消え、代わりにドラリンが断末魔をあげた。

 

なんとかグリーンは、まだ服を着るか着ないか迷い。ブルーは鏡の中の自分を愛し。ブラックは今まさに、なんとかイエローに引き金を引き、愛しの人のもとへ行こうと思案し。それに気付いたなんとかイエローはブラックに完璧に技を決め、気を失わせた。

「いつか世界中の美少年&美少女を集め、このコレクションを着せるのだ…」

吊るされたドラリンは、こう呟いたという。

 

    

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