リンチ、寝技、ナルシズム、究極の選択…混沌と化した一室に、新たに2人の破壊神が舞い降りた。
「元気100倍!」
「アンパンマーン!」
しかし、なんとかレッドとホンゲダピンクに気付いたのは、なんとかグリーンだけ。
「レッド!と、ピンクさん。なんか、怪我してるけど大丈夫?」
「ちょっと、愛の戦いを、ね。」
ピンクはこともなさげに言ってのける。確かに、ホンゲダレッドにぶちのめされるのは、すでに一日のリズムに組み込まれている。
「おうよ!メシ食えば治る!」
なんとかレッドにいたっては、既に加害者(ブルー)への憎しみすら忘れた様子。
「メシといえば…」
なんとかグリーンは究極の選択を思い出す。
「この服着たら一食ン万円のフランス料理奢ってやるって言われたら、どうする?」
「フランス料理?」
なんとかレッドは首を捻る。
「旨いのか?」
「すっごく。」
3秒の思考の後。
「じゃあ、オレが着る!」
「えええッ?!」
「…おもしろい…かも。」
なんとかグリーンは、なんとかレッドが出した回答のあまりの突拍子さに驚き、ピンクの目が怪しく光ったのに気付かなかった。そして…
「完っ成〜!」
ピンクの嬉しそうな声に、部屋にいた全員が目を向け、……言葉を無くした。
善太の、ある意味犯罪な恐るべき姿に。一番の被害者はドラリンであろう。
「フランス料理、フランス料理!」
言いながら迫りくる異形の者。彼女は叫んだ。
「ノットマーベラス!!」
その悲鳴を引き金に、なんとかブルー・イエロー、ホンゲダレッド、ホワイト、イエロー、グリーンは一斉に攻撃をしかけた。本日最大の破壊音が轟いた。
「すみません。この男は常識を知らないんです。」
ブルーは返り血を拭いながら深々と謝罪した。それを受けてホンゲダレッドは同様に頭を下げる。
「いや、こちらも発作的に攻撃してしまって、すまなかった。」
しかし、いまだにドレスを着続けるこいつに常識だのなんだのは言われたくないだろう。
同じ冷血人でもホワイトの方がまだましだ、とホンゲダの面々プラスドラリンは思った。
「そもそもの原因は、司令官ですよね。」
ホンゲダの冷血人はドラリンを睨む。
「埋め合わせ、してほしいよね。」
「フランス料理食べたいさ。」
ホンゲダグリーン・イエローもそれに続いてドラリンを見る。ドラリンは当惑し、
「ちょ、待…」
数秒の計算の後、
「絶対無理!」
「はァ?!」
ホンゲダグリーン・ホワイトは凶悪な顔と声でリアクションする。
その険悪な雰囲気を遮ったのは、なんとかイエロー。
「じゃあ、皆様に迷惑をかけたおわびに、俺が何か作るよ!」
その言葉に、ホンゲダイエローはいち早く顔を輝かせ、
「それいいさ!俺っちもたこ焼き作るさ!」
「よーし、ご飯大会だ!」
ドラリンは意味も無く腕を組み胸を張って号令をかけ、
「お前が仕切るな。」
またもや後ろからホンゲダレッドに蹴りを入れられた。