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紅連の炎、黄金の光

「探しに行くぜ!」

「ちょ、レッド!?」

グリーンが止める間もなくレッドは世界ギネスを遥かに越えるスピードで飛び出して行った。

「ブルー、どうしよう…ってちょっと?しっかりしてよブルー!」

ねえってば~と言いつつグリーンは、脳内がイエローとレッドへの悪口雑言だらけなブルーを揺さぶる。

「あのカレー&筋肉馬鹿共が…一ぺん頭かち割って脳ミソ診たろか…」

だめだ…
ブルーが正気に戻るのは鏡を見た彼がこちらの世界へ帰って来るぐらい難しいだろうとグリーンは判断した。

「一回気絶させれば元に戻るかも…」

でも手加減できるかなー、などとグリーンはこぼした。

「医務室でなんか貰ってこよう…ブラック、ブルーを見張ってて!」

無論、二人を殺しに行かないようにである。
ブラックは無言で頷いて、部屋を出て行くグリーンを見送った。

プルル…プルル…

突然鳴り出す天敵に、ブラックは一歩、また一歩と近づく。

…電話は苦手だ。人と話さなくてはならない…

いつも電話対応は他メンバーに任せる(いつもゲームをしているので出ないだけな)ので、彼はこの仕事に就いて初めて電話を取るのだ。
内心ドッキドキだ。エロ本を買うために美人のお姉さんがいるレジに行かなければならない時のように。(どういう例えだ!?)
とりあえず呼び出し音が心臓に悪いので受話器を外す。

「…」

「もしもし?なになに戦隊なんとかレンジャーさんですか?」

「…」

はいそうです、とブラックは答えた…心の中で。

 

「もしもーし、聞いてますかー?」

場所は変わってここはへなちょこ戦隊ホンゲダバーの司令室。

「…なぁどうしよ~」

ドラリンは受話器の話し口を手で塞ぎ、メンバー達に助けを乞う。

「どうかしたんですか?犬探しを手伝って欲しい、と言えばいいだけでしょう?」

ホワイトが不思議そうに問う。

「誰か出たみたいなのに誰も出ないんだ…」

「は?…なんて?」

ホンゲダグリーンは眉を寄せて聞き返す。

「無反応なんだよ~」

「ハイィ!?」

「貸してみなさいよ!」

言うなり電話をひったくるピンク。

「もしもーし、なんとかレンジャーさんのお宅ですか?」

「「お宅」じゃ変に思われるでしょう!」

ホワイトはピンクを押しのけ受話器を手に取ると、つんざくような銃声が木霊した。聞き取り口から10メートルは離れていたイエローにも聞こえるくらいの。
ドラリンは即決し、全員に指令を下す。

「行くぞ、なになに戦隊なんとかレンジャー基地へ!…その前に…」

「どうする?こいつ」

ドラリンの台詞に、ホンゲダメンバーは縛られているリーダーを横目で見る。

「怪我してたら、もしさらわれてたら…」

レッドのそのざまにメンバーは肩をすくめて、顔を見合わせる。

「こうですから」

「過保護さ」

ホワイトにイエローが続けた。

むしろ…馬鹿!!

全員の背後にはその一言とともに、稲妻が走った。

「チョコ…」

鼻をすするリーダーの情けない姿に、メンバーは思わずため息。

「ヘタレだ…」

「ヘタレね」

ドラリンの呟きにすかさずピンクが同意する。

「ヘタレさー」

当然イエローもそれには反論しなかった。

「文字通りですね」

「目に覇気がないしね」

ホワイトとグリーンは、そんな三人の言葉をうけて言いたい放題である。

「ま、いっか。連れてこう。イエロー、頼む!」

「イエッサー!!」

ドラリンに元気よく返事をしたと思うと、縛りあげられたレッドをまるで荷物かなにかのように肩に担ぐイエロー。

「では、気を取り直してなになに(略)へ出発!」

 

~なになに戦隊なんとかレンジャー基地~

「なにをするんですブラック!?」

部屋を出て行こうとしたことでブラックの洗礼を受けるところだったブルーのほぼ真後ろの壁には、直径1.5cmほどの穴が開き、まわりの塗料がパラパラと崩れている。

「…」

無言でなおも銃口をこちらに向けてくる仲間に、ブルーも黙っちゃいない。

「なんなんですか、私は人様の飼い犬をかっぱらった馬鹿野郎を抹…止めに行くだけですよ?」

無言なのでブラックは、聞いているのかいないのかはっきりしない。が、自分の邪魔をしようとしていることだけは確かだ。

「…問答無用ですか」

その言葉に頷くブラック。ブルーはそれを宣戦布告とみなし、構える。

「手加減は出来ませんよ!」

言うなり素人目には見えぬほどの早さで間合いを詰めるブルーに、ブラックは照準を合わせる。
引き金を引くと同時にブルーの手刀がブラックに向け放たれた、その瞬間!

「へなちょこ戦隊ホンゲダバー参上…」

今にもこと切れそうな声で叫んだその人は、全身汗だくで部屋に乱入するなり倒れた。
決着を着けようとしていた二人は、顔を見合わせ行き倒れた青タイツの人に近づく。

「ドラリンさん?」

死んでるんでしょうか、とブルーがつつく。

「到着さ!」

「清一さん!?と…肩の上のかたは?」

次々と部屋に辿り着くホンゲダメンバーたち。全員汗びっしょり、イエロー以外は虫の息だった。

    

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