黒腕の魔女


こんにちは。はじめまして、かしら?

そうだね。君がこうして、僕の目の前に現れるのは初めてだ。すぐ近くに住んでいるのにね。・・・監視してたんじゃないのかい?

そうね。あなたがここに来てからずっと。だって、あなたの出すオーラは手にとるようにわかるもの。

その黒い手に、かい?それなら、なぜ、会いに来たんだい?

緑が喜んでいるのよ。



あなたは、ずいぶん成長したわね。最初は、強烈なオーラを垂れ流すだけの存在でしかなかったのに、 少しづつ、それをコントロールできるようになって。気付いてる?あなたの周りに草が芽吹き始めていることに。 ずっと、強すぎる“気”にあてられて、土は死んでいたのにね。

あぁ・・・大地だけじゃない。僕が殺してしまったのは。あの機械人間も・・・あの村の子も・・・

私は、死ななかったわ。

君は、特別なんだろ?こんなに長い時間を生きられる人間がいるはずも無い。

そうよ。私は魔女だもの。この黒い両腕は、この星を壊しかねないほどの力を持っている。

・・・君は何をしに来たんだい?

私の名はね、セルリィ・アンというの。

・・・そんなことは訊いてもいないが。大体誰が君を名前で呼んでくれるんだい?

あなたに呼んでもらえるわ。

・・・?

私のところに来ない?迎えに来たの。あなたを。

・・・・・・

待っていたのよ。あなたの自我がはっきりと形作られるのを。

・・・どうやって?僕を持ち運ぶわけにはいかないだろう?

その容れ物から、あなたの精神を取り出すの。あとは、私の心に入るも、一つの精神生命体になるも、ご自由に。

・・・そうかい。それでは、お願いしようかな。いつまでも一つのところにいるのは暇だし ・・・さみしいからね。

そう、思ってね。あなたと同じような境遇のコが、私の中にはもう何人もいるの。 じゃあ、いくわよ。いいわね?

あぁ。セリー・アン・・・だっけ?

セルリィ・アンよ。




次はどの話をしようか?

火疾り    屍機巧

ともに    ハイド・アンド・シーク




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